前十字靭帯断裂

TPLOとは

犬の前十字靭帯断裂における最新の手術法の一つ『TPLO』を採用しています。
この手法は1993年に故Dr.Barclay Slocum(世界的に有名な獣医外科の先駆者)によって考案された手法です。これまで他の様々な手法の考案とともに試行錯誤が行われてきましたが、今もなおこの手法が高く支持され行われています。特殊設備と精度の高い技術を要する手法のため、全国の限られた施設でしか行えない手術法でもあります。

前十字靭帯には大腿骨と脛骨を繋ぎ止め、脛骨(下腿骨)の前方への転移と内旋を制御する働きがあります。この靭帯の損傷により起こり得た現象を解決するために手術が必要です。TPLOでは膝関節の安定を得るために膝関節の力学的構造を変化させます。
TPLOは膝関節を構成する脛骨という骨の一部関節面付近の骨切りを行ってインプラント(プレート)固定し、大腿骨の関節面への接触を水平にすることによって体重負重時の脛骨が前方への迫り出させる力を下方への関節圧迫の力に置き換え、損傷した十字靭帯が修復されなくても疼痛や跛行の症状を改善させます。

※脛骨高平部(ライン)の角度を平らにすることにより滑りをなくして安定化させます

つまりTPLO手術の意図は、脛骨の前方への推進を後十字靭帯で制御できる角度に高平部の角度を矯正し、膝関節の活動的制動を得ることです。他の前十字靭帯断裂の手術では十字靭帯の機能的な欠損に対して直接的にワイヤーや他の人工靭帯などで補おうと試みますが、TPLOでは膝関節の靭帯の機能的欠損に対して間接的に安定化をもたらすことができます。またTPLOは前十字靭帯の完全または部分断裂の治療法として有効であり、活発に運動ができるようになるまでの期間を従来の手術法よりも短縮させ、関節内の変化を最小限に抑えることが出来ます。特に、長期のリハビリテーションや術後管理が困難な大型で活動的な犬の治療法として最適です。