膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼

小型犬を中心とした代表的な膝関節疾患で、当院でも最も手術頻度の多い外科疾患のうちの一つです。
膝蓋骨と呼ばれる膝のお皿が大腿骨の本来あるべき位置から内方または外方に脱臼する病態で、発症年齢や重症度によって膝関節の伸展不全や運動機能障害を引き起こします。

先天性(発育性)脱臼の頻度がきわめて多く、放置した場合、十字靭帯断裂や半月板損傷といった二次併発疾患を引き起こすことがあります。
将来に向けて正常な関節運動が行えるよう、また二次併発疾患の発症回避目的で手術が行われます。重症度評価で重症度の低いものからグレード1~4に分かれ、グレード3と4が手術の適応です。手術法はその方法も様々であることながら、個々の個体によって骨、靭帯、筋肉、関節包などを細部に渡り矯正し、カスタマイズしていきます。手術時期や手術回数についても状況に応じた判断が必要になるため、ご来院頂き診察を受けて頂いてから手術の必要性の有無やプランをご説明いたします。単回手術で完了することがほとんどですが、1回の手術で完治しなくとも早期から手を加えていかなければ放置した場合、手術の難易度が上がってしまったり、その分再発率も上がってしまうことがあります。

症例1:トイプードル

一般的な膝蓋骨内方脱臼を整復した例

手術前

手術後

症例2:キャバリア

大腿骨の弯曲に対して矯正骨切り術を併用して膝蓋骨内方脱臼を整復した例

手術前

手術後

6か月後、プレートとピンを抜去